多目的ギャラリー展示「戦後80年 代用品と統制品 -美濃焼から平和を考える-」
2025.06.02
多目的ギャラリー展示「戦後80年 代用品と統制品 -美濃焼から平和を考える-」
会期:令和7年 6月 3日(火)~ 令和7年 8 月 31日(日)
場所:多治見市美濃焼ミュージアム 多目的ギャラリー
戦後80年目を迎えた今年、当館で戦時中に使用された代用品や統制品を展示します。
戦時中の代用品とは、戦時期の物資不足において、本来の材質に代わった材料で作られた製品のことです。鉄などの金属が軍需生産で必要とされる中、代用品としてやきものが一端を担うことになります。とりわけ、昭和16年以降は陶磁器に統制番号(生産者別表示記号)を標示することが義務付けられ、製造品および数量などが管理されました。これらを統制品と呼びます。
過去の大戦により、東美濃の地域においても多くの人が戦争へ出兵し、命を落としました。そして疎開先としてたくさんの人を迎え入れた多治見市も空襲被害にあい、多くの犠牲者を出しています。
飛鳥時代より長い歴史を紡いできた美濃焼の産業も、戦時下において自身の存亡に関わる厳しい時代を迎えることになり、窯業は時代に大きく翻弄されました。伝統ある窯焼きは、「不要不急」のものと位置付けられ、軍需優先のもと犠牲となってきた一つです。
直接戦争体験のない世代が増えていく社会において、後世へ戦争の記憶を伝達し歴史を伝えることが、新たな歴史を紡ぎ、未来を切り開いていく糧になると信じます。

缶詰の代用品(美濃焼ミュージアム蔵)